TMS（Transcranial Magnetic Stimulation）とは、経頭蓋磁気刺激法とも呼ばれ、磁場の変化により非侵襲的に神経細胞を刺激する方法です。
最新の脳生理科学を基礎として、MRI等と同じく人体に無害な磁気を用いて深部脳に直接刺激を与えることで、脳を活性化し脳機能を整える、現在最も期待される最新の治療です。
磁場をパルス状に連続発生させるコイル装置を患者様の頭部に近づけます。頭蓋骨の内部まで到達した磁場の働きで生じた渦電流が、脳神経細胞に働きかけます。
うつ病患者様の多くでは、脳の左前方の背外側前頭前野（dorsolateral profrontal cortex: DLPFC）という領域の機能が低下し、意欲や思考力が低下し、過度に内省的になる否定的ぐるぐる思考が止まらない状態となると考えられています。磁場によって脳を繰り返し刺激することで、脳の正常な機能が回復し、意欲や思考力が改善されていきます。
TMS治療は、うつ病に有効であることが1993年頃から報告され、現在では、薬物に治療抵抗性のうつ病に対する治療法として、国内外で承認されています。副作用がほとんどなく安全に実施できる場合が多く、治療効果を速やかに実感できる場合もあります。
実際、当院でも多数の抑うつ症状を認める方がTMS治療を受けておりますが、重篤な後遺症が残った方はおりません。これまでに200名以上の方が10回以上のTMS治療を受けておりますが、半数以上の方で抑うつ症状の改善を認めております。また、20回までTMS治療を続けられた方の多くで、症状の改善が引き続き認められます。
当院では、TMSの中でも最も治療効果の高いシータバーストモードを特徴とする最新機器を導入。薬以外の治療を希望される方、服薬治療による改善が乏しい方に大きな効果を上げています。
当院では、AプランとBプランの2種類の治療プランをご提供しております。
シータバースト治療を左側の前頭前野に必要十分量のパルスを6分40秒当てるAプランに加えて、シータバースト治療を10分以上、しっかりと受けていただけることができるBプランをご用意しております。
・Aプラン:回復に必要十分な1,200回のパルスを6分40秒で、左側のみに。
・Bプラン:さらなる回復を促す3,000回のパルスを10分以上で、左側と右側の両方に。
またBプランでは、右側の前頭前野への刺激を組み合わせることで、抑うつ症状の効果的な改善が期待されます。症状に応じて、左右の刺激時間を変えたB1、B2プランを用意しており、症状に最適な治療をご提案いたします。
・B1プラン:意欲・集中力を改善し、不安感も抑えるスタンダードプラン。
・B2プラン:左側の刺激を増やし、意慾・集中力改善を重視したプラン。
また、ADHD等の発達障害の方にも治療を行っております。
| Aプラン | Bプラン | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| B1プラン | B2プラン | ||||
| 治療部位 | 左側 | 左側 | 右側 | 左側 | 右側 |
| パルス回数 | 1,200回 | 1,800回 | 1,200回 | 2,400回 | 600回 |
| 所有時間 | 6分40秒 | 10分 | 40秒×2回 | 13分20秒 | 40秒 |
初回治療は、Bプランをお勧めしております。
プランB1，B2によって、左側と右側の刺激回数（時間）が異なります。
医師による診察結果に基づいて、最適な治療プランをご案内致します。
| Aプラン | Bプラン | |
|---|---|---|
| 料金 | 1回2,900円（税込） | 平日１回4,950円（税込）、平日初回無料 土曜１回5,950円（税込）、土曜初回無料 |
TMS治療は自由診療となります。
TMS治療を開始して頂く前に、別途、お困りの症状に関して、保険診療での診察を一度受けて頂く必要がございます。
その後、TMS治療のみ継続して受けて頂くことが可能です。
TMS治療の初回料金を無料としております。ぜひご体験下さい。
初回は、TMS 治療を副作用なく実施できるか、また、治療に有効な刺激強度まで上げることが可能かなどを確認いたします。
TMS治療希望の方は、WEB予約の際にその旨をご記載ください。電話でご予約いただくことも可能です。
平日18時以降の初診WEB予約の場合、同日のTMS治療ができない場合がありますので、ご了承ください。
A、Bプランの詳細については、TMSの詳細ページもご参照ください。
ご不明な点がございましたらお問い合わせ下さい。
10回分、または15回分の治療費の一括払いも可能です。
| Bプラン | |
|---|---|
| 料金 | 平日 10回 45,000円（税込） 平日 15回 66,000円（税込） |
Aプランは都度払いのみでのご案内となります。
土曜日は、平日の1回分に1,000円追加でお支払い頂くことで、追加治療可能です。
一括払いでお支払い頂いた場合、返金対応はできませんので、ご了承ください。
青少年のうつ病は、日本でも大きな問題です。米国の疾病予防管理センターによると、6〜17歳の子どものうち約5％が、一度はうつ病と診断されています。青少年のうつ病の約半数が既存の治療に反応せず、反応しても7割は5年以内に再発すると言われています。
2024年３月に米国で、青少年のうつ病に対するTMS治療がFDA認証を受けるという、TMS治療の普及において画期的な出来事がありました。FDAは米国の食品医薬品局を意味し、FDA認証を受けることで、薬機法に違反せず、安全性と有効性の観点で適正な商品であるとされます。成人（adult）のうつ病に対するTMS治療は、2008年に認められていましたが、2024年３月に、その適応が青少年に拡大されました。ここで青少年（adolescent）とは15〜21歳を指します。
今回の決定にあたり、FDAは、NeuroStar機器を用いた1,169名の青少年に対するTMS治療において78%が臨床的に有意な症状改善を認めたというデータと、既存の研究結果を踏まえ、TMS治療の有効性と安全性の判断を行いました。今回の認証では、青少年のうつ病に対して、抗うつ剤による治療抵抗性の場合に、
補助療法としての位置づけとなっています。
有効性に関して、TMS治療のプラシーボ群との厳密な比較は今後の課題ですが、少なくとも有害事象（adverse effect）の頻度は、成人の場合と同じく極めて低く、副作用（sideeffect）は頭痛など軽い症状が大部分であり、唯一重篤な副作用として懸念されたてんかん発作についても、1000人に一人程度と、抗うつ薬を服用した場合にてんかん発作が起こる頻度と同程度でした。
TMS治療の最大のメリットは、抗うつ薬を用いた治療に比べて副作用が少ない点です。抗うつ薬を継続的に服用する治療の他に、安全な治療の選択肢が増えたことの意義は大きいと考えられます。注意すべきことは、TMS治療は万能な治療法ではなく、人によって効果の程度が異なることには気をつける必要があります。
日本では、18歳未満が「子ども」に該当するとされています。今回のFDAの決定により、15歳以上の子どもに対して、米国では、うつ病の治療選択肢としてTMSが保険診療において検討できるようになりました。将来、米国以外の国でも保険診療において同様の選択肢が選べるようになる可能性があります。
当院では、自由診療の枠組みですが、15歳以上の若年者の方にもTMS治療を実施しております。
80名以上の15〜17歳のうつ症状を認める方にTMS治療を行い、半数以上の方でうつ症状の改善を認めています。
青少年の方で、うつ症状に困っており、薬物療法に抵抗感があり、まずは薬物を使わない治療をご希望の方は、ご相談にお越しください。
カウンセリングの専門家であるカウンセラーが、患者様と対話する中で、患者様が自己理解を深め、「よい」意思決定という形で行動できるようになることを援助します。
患者様が抱える心理的および社会的な問題を解決することに助力いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
