〒104-0061 東京都中央区銀座5-9-13菊正ビル3F03-6263-8851

TMSの詳細

TMS療法

TMSとは

rTMS(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)は、反復経頭蓋磁気刺激とも呼ばれ、2008年に米国でうつ病の治療法として認可され、米国やヨーロッパでは既にうつ病治療の選択肢となっています。MRI等と同じく人体に無害な磁気を用いて深部脳に直接刺激を与えることで、うつ病患者様の脳を活性化しバランスが乱れた脳機能を整えます。

TMSの仕組み

磁場をパルス状に連続発生させるコイル装置を患者様の頭部に近づけます。磁場は、頭蓋骨の内部まで到達し、磁場の働きで生じた渦電流が脳神経細胞に働きかけます。うつ病患者様の多くでは、脳の左前方の背外側前頭前野(dorsolateral profrontal cortex: DLPFC)という領域の活動性が低下していることが知られています。この領域は、前頭頭頂ネットワーク(frontopariental network)の活性化を通じて、意思決定や記憶などの高次機能に関与します。
うつ病患者様の脳では、前頭頭頂ネットワークの機能が低下すると伴に、休息時の反応であるデフォルトモード・ネットワーク状態となり、結果的に思考力や判断力が鈍ったり、ネガティブな考え方や思考にとらわれてしまうと考えられています。
TMSでは、(1)うつ病患者様の脳で抑制されている左側のDLPFCを活性化する、あるいは、(2)異常に亢進している右側のDLPFCを抑制することで、脳のネットワークのバランスを整えて、脳を正常な状態に戻します

TMSの治療効果

TMS治療は、うつ病に関して最も効果的な治療法の一つであり、薬物に応答性がないうつ病患者様にも有効であることが、海外の研究で示されています。最近の海外の研究によると、TMS単独で約6割の患者様で治療応答を認め、約4割の患者様が寛解にいたり、うつ症状を認めなくなったことが示されています(Baeken et al., Curr Opin Psychiatry 2019)。
抗うつ薬での治療が長期化するほど新しい薬への反応性が下がり、難治性となりますが、そのような患者様に対してもTMSは有効です。実際、本院でもTMSによりうつ症状が緩和した患者様を多数経験しています。
症例については下記をご参照下さい。

TMSと薬物療法の比較

TMS 薬物療法
メリット 副作用がほとんどない
薬物抵抗性のうつ病にも有効
数週間で効果を評価できる
相性の良い薬が見つかる可能性あり
確立された治療法である
デメリット 1回の治療費が比較的高価
1回では効果を実感しにくい
治療が長期間にわたる
薬物の副作用のリスクあり

TMSをお勧めする患者様

・薬の副作用にお困りの方
・薬物治療を繰り返していて、改善が乏しい方
・薬を最小限に抑えて短期間での回復を希望される方
・内服されている薬の量を減らしたい方

ぜひ一度、当院までご相談にお越し下さい。

当院のTMSの特徴

当院では、TMSの中でも最も治療効果の高いシータバーストモードを採用しています。2008年に米国FDAで認可された従来の磁気刺激法は、37.5分と長時間を要します。この方法では、4秒間に40回のパルスを加え(10Hz)、26秒間の休みを挟んで刺激を繰り返し、合計3,000パルスを左側DLPFCに与えます(下図)。

2018年に、シータバーストモードを使うことで、3分9秒と短時間の刺激で、37.5分の磁気刺激法と同レベルの抗うつ効果が得られることが報告されました(Blumberger et al., Lancet 2018)。シータバーストモードとは、50Hzで3回のパルスを加え、パルス間のインターバルを200ms(5Hz)とする方法です(下図)。脳のシータ波(5Hz)は、探索活動中の脳や、海馬錐体細胞の発火時などに認められる脳波パターンです。シータバーストモード(TBS)には、間欠的シータバースト(intermittent TBS: iTBS)と連続的シータバースト(continuous TBS: cTBS)があります。

間欠的シータバースト(iTBS)では、パルス2秒、休息8秒を繰り返すことで、神経ネットワークの長期増強を誘導します。一方、連続的シータバースト(cTBS)では、神経ネットワークの長期抑制が誘導されます。
うつ病患者様の脳において、活性が低下した左側のDLPFCにiTBSのパルス刺激を加えることで活性化を誘導し、また、異常に亢進した右側のDLPFCにcTBSのパルス刺激を加えることで活性を抑制できます。
近年、左側のDLPFCを活性化することに加えて、右側のDLPFCを抑制することで、うつ症状の改善がより有意に認められることが報告されています(Li et al., Brain 2014)。

当院では、間欠的シータバースト(iTBS)を用いて短時間で効率的にうつ症状を改善します。必要な活性化の程度に応じて、iTBS 1,800パルスのプランと3,000パルスのプランをご提供いたします。不安感や焦燥感が強い患者様や、十分な治療効果をご希望される患者様には、オプションとして右側のDLPFCを抑制するために、cTBS 1,200パルスを追加するプランもご用意いたします。TMSの治療にあたり、刺激部位の正確な特定が重要です。本院ではTMSへの応答性を用いて右手指の筋肉のモーターポイントを決定し、その5cm前方を左側のDLPFCとして刺激部位を定めています。
近年、シータバースト刺激を従来の50Hzから20Hzに変更することで、より良好な抗うつ効果を認めることが海外の研究で報告されています(Stubbeman et al., Brain Stimulation 2018)。当院でも20Hzの刺激方法を取り入れており、患者様の状態に応じて適切な刺激を提案させて頂きます。

治療プラン

当院では複数のプロトコールをご用意しております。短時間で必要十分な効果が期待できるプランA、時間をかけて十分な治療効果が期待できるプランB2、不安感や焦燥感の強い患者様にはプランB1など、患者様のご希望と状態に合わせて最適なプランを提供致します。

Aプラン B1プラン B2プラン
治療名 iTBS 左側DLPFC iTBS 左側DLPFC cTBS 右側DLPFC iTBS 左側DLPFC
パルス回数 1,200回 1,800回 1,200回 3,000回
所有時間 約6分 約10分 約2分 約16分

TMSの料金について

Aプラン Bプラン
料金 1回 3,850円(税込) 1回 7,500円(税込)(初回のみ4,300円(税込))

一括払いコース

Aプラン Bプラン
料金 20回 69,300円(税込) 10回 69,300円(税込)

TMSとは

海外の研究成果では、週に5回、セッション10〜20回での治療によって抑うつ症状が改善することが報告されています。当院では、週1~3回、計10回の治療を1クールとし、2クール以上の治療をお勧めしております。TMSの効果については、1クール終了時に治療効果の判定を行っております。

TMSの副作用

副作用はほとんどない治療法ですが、以下の症状が出る場合があります。

・刺激部位での違和感や疼痛
・一過性の頭痛、歯痛

TMSを行うことが出来ない方

・体内埋込式の医療器具、頭蓋内磁性体を有する方
・妊娠(可能性も含め)
・てんかん等のけいれん疾患

当院でTMSが有効であった症例

うつ病(男性)

うつ病の発症とともに、考えがまとまらない感じを自覚。仕事中、集中力が散漫になり、思考がまとまらない感じを実感されていた。薬物治療を行っていたが効果の実感がなく、本院にてTMSによる治療を希望されました。TMS治療により、集中力が高まる感じを自覚され、10回1コースの治療、2コース終了後には、注意力や集中力の回復を実感されました。TMS治療が、うつによる思考力の低下に効果を示した例です。

うつ病(男性)

仕事のストレスにより、明け方の3時頃に目覚めてしまい、希死念慮が生じ始めた。会社に通うことが辛くなり、うつ病の診断を受けて他院で薬物療法をされていました。できるだけ薬物に頼らない治療法を希望されて、当院を受診されました。うつで頭が回らず、書類が書けない、やる気が起こらないなどの症状が強かったようですが、TMS治療を行った結果、6回目位から会社で気分が落ち着いてくることを自覚できるようになったとのことです。TMSを継続しながら仕事を続けられています。

うつ病(男性)

元来、楽天的な性格であったが、職場でのストレスにより、疲れやすさを自覚するようになり、平日も土日もぐったりするようになった。やろうとしたことに億劫で取り組めず、仕事の中でストレスがかかると、頭がフリーズしたような感覚になったり、頭の働きが悪くなったように感じるようになったとのことです。職場の同僚と会話することへの不安から頭が真っ白になる症状も出現し、当院でTMS治療を開始されました。TMSを週2回のペースで続け、薬物療法も併用したところ、気分の改善を認めました。現在、安定して就労を続けられています。TMSを受けたあとは、頭がすっきりして活発になり、物事に積極的に取り組もういう感覚になるそうです。

双極性障害、うつ病の併発(男性)

単純作業が苦手で、他の人より遅い、仕事でミスをしやすいなどの自覚があったようです。就職後にうつ病を発症し、特に日中の疲労感・眠気が強く、就労を続けることが困難ということでした。当院で薬物治療を行うと同時にTMSを週に複数回のペースで施行する中で、頭が回らない感じが消失し、うつ病を発症する以前の明晰な思考が戻ってきたとのことです。TMSが頭の回らない感じに著効した例です。

ADHD、うつ病の併発(男性)

他院にて5年以上抗うつ薬による治療を受けられていましたが、改善を認めなかったそうです。状が増悪し、注意力散漫でミスが多く、日中に眠くなる、自分でしゃべっている内容を忘れるなどの症状を発症しました。デスクに座っていられない。集中できない。何とか出勤できているものの、土日はほぼ寝たきりの状況とのことでした。本院でTMSによる治療を開始したところ、治療を受けると集中力が高まる感じがするとのことです。週に1回の治療を受けながら就労を続けられています。

双極性障害 うつ病の併発(女性)

20代で躁うつ病を発症し、多数の薬を服用されていました。うつ状態になり、投薬以外の治療法を希望されて当院を受診されました。TMSを10回終えた時点で、気分の改善を認め、それまで欠かせなかった眠剤なしで眠れるようになった。その後も、TMS治療を続けられ、就労を継続されています。