〒104-0061 東京都中央区銀座5-9-13銀座菊正ビル3F03-6263-8851

うつ症状の
血液検査

当院の血液検査

うつ病に似た症状を示す病態として、鉄欠乏状態・甲状腺機能低下症・低たんぱく状態・更年期症状
などが挙げられます。
血液検査でそれらの疾患を除外することが大切です。
血液検査をご希望される場合は、
診察の際にその旨をお伝え下さい。

 

目次

  1. (1)鉄欠乏状態
  2. (2)甲状腺機能低下症
  3. (3)低たんぱく状態
  4. (4)男性更年期症状
  5. (5)女性更年期症状
  6. (6)血液検査の料金の目安

 

 

 


 

(1)鉄欠乏状態

倦怠感が続く場合、貧血のない鉄欠乏状態が原因の可能性があります。鉄欠乏性貧血では、血清フェリチンの値が12~15ng/mL以下となりますが、貧血がなくてもフェリチンの値が50ng/mL以下の状態だと倦怠感の原因となる可能性があります。その場合は鉄剤を内服し、フェリチン値が50ng/mLに達してから3ヶ月服用を続けることをお勧めします。

鉄には、肉や魚などの動物性の「ヘム鉄」と、野菜などの植物性の「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄の5~10倍とも言われているため、鉄は動物性食品から摂取した方が効率が良いでしょう。1日2mgの鉄を吸収するには、豚レバーで100gが目安となります。

 

 

 

(2)甲状腺機能低下

甲状腺の機能が低下すると、気分の落ち込みや、元気・活力のなさが起こります。
食欲低下・集中力低下・不安などを伴い、
うつ病に似た症状を呈するため、鑑別が必要です。 身体症状として、徐脈・むくみ・体温低下・便秘・首の腫れなどが起こります。
血中の甲状腺ホルモン(FT3・FT4)が低値となり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値となる場合は、甲状腺機能低下症と診断されます。

抗体検査(抗Tg抗体・抗TPO抗体)によって、慢性甲状腺炎(橋本病)の診断が可能です。治療には適切な量の甲状腺ホルモン薬(チラージンS)を内服し、足りないホルモンを補充します。

 

 

 

(3)低たんぱく状態

タンパク質の構成成分であるチロシン・フェニルアラニン・トリプトファンなどの必須アミノ酸は、神経活動に不可欠な神経伝達物質であるアドレナリン・ノルアドレナリン・セロトニンなどを合成します。
特にセロトニンが欠乏すると気分が不安定になり、憂うつ感や不安感を生む場合があります。

タンパク摂取の指標は尿素窒素(BUN)です。
腎機能検査の観点ではBUNの基準値は8〜23(mg/dl)ですが、タンパク摂取量からみると、BUNは15(mg/dl)以上が望ましい数値です。 低たんぱく状態の場合は、高タンパク質・低糖食に切り替えて、一日に体重1kgあたり1〜1.2gのタンパクを摂取するように心がけましょう。

食事だけで不十分な場合、プロテインを1日あたり(体重×0.5)g摂取するのも有効です。

タンパクが少なく、白米やパン・砂糖など糖質の多い食事は、食後2〜3時間で反応性の低血糖状態を引き起こします。
その結果、ノルアドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが高まり、自律神経が乱れて不安感などの症状が出る可能性があります。 血糖値が緩やかに上がる低GI食品がお勧めです。

 

 

 

(4)男性更年期症状

男性の場合、40代から60代前半において、
加齢に伴う性ホルモン(テストステロン)の低下によって不眠・無気力・イライラ・性欲減退・集中力の低下など、抑うつ症状に似た症状がおこる場合があります。
血中のテストステロン値を測定することで、
更年期障害であるか判断ができます。ホルモン低値の場合、テストステロン補充療法により症状の改善が期待されます。

血中の遊離型テストステロン(フリーテストステロン)正常値の下限は年齢によって異なり、20歳代では8.5pg/ml、30歳代では7.6pg/ml、40歳代では7.7pg/ml、50歳代では6.9pg/ml、60歳代では5.4pg/ml、70歳代では4.5pg/mlとなります。

 

 

 

(5)女性更年期症状

女性の更年期とは閉経(平均50歳)を迎える前後10年程度(45歳~55歳)を指し、閉経の4~5年前から卵巣の機能低下により、エストロゲンが減少することによって自律神経系のバランスが崩れ、さまざまな症状が起こります。

自律神経症状として、のぼせ・ほてり・発汗が突然起きるホットフラッシュが起こります。 精神症状として、怒りっぽくなり、また気分の落ち込みや不安感が起こります。その他、身体症状として、疲れやすい・吐き気・めまい・頭痛・浅い眠り・肩や腰の痛みなどが起こります。

更年期障害に明確な診断基準はありませんが、血清エストラジオール(E2)濃度の低下、血清FSHの増加(25mIU/ml以上)が診断の補助となります。 特にE2値20pg/ml以下、FSH値40mIU/ml以上の場合、閉経が近づいていると判断されます。
症状が軽い場合は加味逍遥散などの漢方薬で改善する場合があります。 症状が重い場合は、専門の医療機関でホルモン補充療法の検討が
必要になります。

 

 

 

(6)血液検査の料金の目安

血液検査にかかる費用は
『判断料・採血の費用・検査料』の合計となります。

判断料
血液化学検査(生化学的検査(I)判断料)

432円

末梢血液一般検査
(血液学的検査判断料)

375円

内分泌学的検査(生化学的検査(II)判断料)

432円

 

採血
静脈採血B-V

105円

3割負担の方で、各検査料は
下記のようになります。
(診療報酬改定により変更する場合があります)
血液化学検査
血清鉄・尿素窒素(BUN)・クレアチニン(Cre)・総ビリルビン・γGTP・中性脂肪・総蛋白・Na・Cl・K 各33円

まとめて実施した場合

5~7項目:
279円
8~9項目:
297円:
10項目以上:327円

総コレステロール・AST(GOT)・ALT(GPT)・HDL
コレステロール
各51円
LDLコレステロール 54円
フェリチン定量

324円

末梢血液一般検査
末梢血液一般検査(赤血球数・白血球数・血色素測定(Hb)・ヘマトクリット値(Ht)・血小板数)

検査項目数に
関わらず
63円

内分泌学的検査
遊離サイ
ロキシン(FT4)
381円

3項目まとめて
実施
した場合

1,230円

遊離トリヨードサイロニン(FT3) 381円
遊離テスト
ステロン
489円
卵胞刺激
ホルモン(FSH)
333円
エストラジ
オール(E2)
531円
甲状腺刺激
ホルモン(TSH)
312円